2022年3月現在

hori-akihiro

堀晃浩

法学修士(LL.M.)
Bar Exam 合格

私は新卒で在京民放テレビ局に入社し、およそ3年ほど外信記者を務めた後、社内の著作権契約部門に異動となり現在は主として英文契約の審査・起案を担当しています。

2016年にTUJに入学した当初は加州Bar Examを受験することはほとんど考えておりませんでした。入学当初の目標は①英語力の維持向上、②仕事に関連する分野の米国法についての知識を深めること、③米国の大学院に留学した雰囲気を少し味わうこと(幼少期に1年半ほど米国で過ごした経験はありましたが、海外の高等教育機関への留学経験はありません。)④卒業してLLM学位を得ることの4つでした。

TUJでは2年半をかけて卒業に必要な8科目を受講しました。(原則として週1回授業に出るペースをつづけ、卒業前の春学期だけ週2回ペースを一度行いました。)入学前から英語力に多少の自信はあったものの、分厚い専門書を予習し、ハイペースな授業についていくのは大変でした。講義は日本の大学における講義とはまったく異なるSocrates Methodという対話形式で、予習をしていないとついていけません。Writing系ではない法律科目の期末試験は殆どが教科書など持ち込み不可の3時間の論述試験であり、最初は腕試しの為に試験時間延長を申請せずに受けていたのですがかなり厳しく、結局は2回目以降の法律科目からnon-native English speakerに許された1時間の時間延長を申請して、4時間枠で期末試験を受けていました。

私の場合、まずはLLMの学位を取得すべく、各授業の単位を得ることに最大限注力しました。その姿勢は結果としてBar Examでも間接的に役に立ったように感じます。例えば、TUJでしっかり授業を受けていたことで、Civil Procedure、Torts、Professional Responsibility、Criminal Procedureといった法律科目についてはかなり親しみを感じ、その後予備校の講座でBarの受験勉強をする際もTUJの授業で習ったポイントを復習して精度をあげていく感じとなってとても役立ちました。

私が本格的に加州Bar Examの受験を決意したのは2018年6月にLLM学位を取得してTUJを卒業した後、受験要件を確立した上で(注:そもそも受験要件を確立する登録ができなければ、受験はできません。)MPREという全米統一倫理試験(最終的に加州弁護士登録をするためには86点以上のスコアが必要)を2018年11月にハワイで受験し、必要とされる基準スコアを満たしたからでした。MPREはまさにTUJで学んだProfessional Responsibilityの授業の集大成のような択一試験であり、各予備校が無料で練習問題を公開していたことから、「腕試し」に丁度良いと思いました。MPREは試験範囲が1科目だけなので、この試験でスコア要件が満たせなければ、試験範囲が13科目もあって論述テストもクリアしないといけないBarExamは到底受からないと考えた為です。

仕事と私事が忙しくなり、MPRE受験後から2019年の夏まで何も勉強しませんでした(というより、できませんでした)。勉強を再開したのは2019年7月末にBarbriという大手予備校のオンライン10か月講座を申し込み、2020年7月の受験を目指すことを決めた時からでした。予備校のオンライン講座は1日2時間ずつ、週最低14時間の学習ペースを維持する設計になっており、私は愚直に課されたペースと課題を守り、オンライン講座での勉強を続けました。平日は1時間ぐらいしか進められないため、週末に殆どのしわ寄せがいき、講義動画をずっと見て過ごす週末も多々ありました(基本的に受験勉強にあたっては予備校から提供された教材以外は使用しませんでした)。2020年初頭からコロナ禍が深刻化し、現地における試験開催の目途が立たない状況に陥りました。とりあえず予備校の講座のペースをできる限り守りながら勉強を続けていたところ、10月にオンライン試験が行われることが発表になりました。時差の問題で昼夜逆転にはなってしまいますが(試験は加州の時間に合わせて行われますので、日本時間の深夜から早朝が受験時間になります。)、自宅の机と椅子を使っての受験が可能ということで、ひとまず様子見で受けてみることにした結果、幸いにして合格を果たすことができました。

個人的には、合格できた要因は次の5点だと感じています:①合格ラインが1440点から1390点に引き下げられたこと、②勉強の環境と同じ環境(自宅)で受験できたこと、③たまたま自分が苦手な科目の論述問題が出題されなかったこと、④4択問題が通常の200問から100問に減少したこと、⑤時間配分が通常試験から変わり、1日目が1時間論述5本、2日目が半日MBE択一問題100問、半日パフォーマンステストだったこと。

まとめますと、私の合格はコロナ禍による非常措置に相当依存した形になっています。実際、私の受験回の合格率は記録的な60.7%となり、率直に申し上げて単に運が良かっただけなのかもしれません。とはいえ、TUJ入学から5年に渡って何かしらの米国法をコツコツ勉強してきたことが最後は生きたと言える面もあるかとは思います。

TUJは予備校ではありませんので、授業では直接的な受験対策は基本的には行いません(偶にTipsを教える先生もいらっしゃいますが)。しかしながら、いざ予備校での勉強をしてみると、Bar受験にとって重要な論点はTUJの授業でも当然取り上げられている場合が多いです。また、今から思えば持ち込み不可の期末論述試験はBarの論述答案に必要な能力の下地作りに役立ったようにと思います。TUJの期末試験を時間延長せずに3時間で受けて好成績を残せる方はBar ExamでもEssayが得意かもしれないと思う次第です。

以上の通り、私は器用なタイプではなく、一つ一つのステップをクリアするのに時間が掛かり、合格まで足掛け5年(実際の弁護士登録に至っては約6年)と随分気の長い話になってしまいました。受験の経験も非常事態の中で行われたものですので、あまりご参考にはならないかもしれません。

最後に、長期に渡り勉強を継続する意欲を維持できたのはTUJの同級生や先輩方から時折受けた刺激です。当然ながら、私の周りではBar Examの受験を第一目的としてTUJで勉強されている方は沢山おられましたし、TUJは定期的に合格者の体験談を伺う機会を設けてくださりました。そういった刺激や情報を得ながら少しずつ前進した結果、入学当初では考えてもみなかった場所にたどり着けたように思います。TUJの教職員の皆さまをはじめとして、支え続けてくれた家族、応援してくださった会社の方々、そしてお世話になった友人、知人の皆様に深く御礼申し上げる次第です。ありがとうございました。

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