学生の学びを見守るプロ—アカデミック・アドバイザー

テンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ) のアカデミック・アドバイジング・センター (AAC) のミッションは、学生が学業上のゴールを達成すること、また学生が大学のカリキュラムや学則を理解することを手助けし、彼らと共に学業上の選択肢を広げることです。アカデミック・アドバイザーは、専攻や学年を問わず、すべての学生を入口から出口まで、つまり入学から卒業まで、彼らが適切な時期に正しいコースを履修しているかどうか見守っています。またAACは、学生のニーズに応じて教職員やその他の関係部門への橋渡しも行います。教員たちは、特に早急な支援を必要とすると思われる学生について、AACに相談します。またAACは、教員たちがカリキュラムを作成したり、改編する際にも協働しています。

TUJのアカデミック・アドバイザーは、能動的な方法で学生に働きかけています。秋・春学期ごとに毎回学期の中ほどで、学部課程の全教員が学生の進捗の度合いを「satisfactory (合格圏)」と「unsatisfactory (不合格圏)」に分けて中間成績評価を行います。「不合格圏」という評価の理由は、出席が足りなかったり、課題の提出がされていなかったり、参加態度が充分でなかったり、テストや課題の点数が低かったりといろいろ考えられます。しかし、大まかに言えば、それは学生が教員の期待に沿っているかどうかの指針となるものです。学生にとっては、学期末を迎える前に自分のクラスでの進捗を確認し、改善のための手段を講じることが可能です。そこで、AACのアドバイザーたちは、学生からの相談を待たずに学生に手を差し伸べることもあります。学生の成績が下降気味であったり、中間試験での成績が芳しくないといった場合、アドバイザーはその学生に連絡し、面談を設定し、共に軌道修正するための戦略を練ります。

AACディレクターはどんな人?

AACの島田敬久ディレクターは日本で生まれ育ち、高校まで日本の公立学校に通いました。その後、ニューヨーク州立大学ポツダム校で英文学とライティング法を専攻、卒業後は東京に戻り、東海大学の財務部で2年半勤務しました。ある日、思いがけなくTUJからポジションを提示するEメールを受け取ると、その誘いを受け入れて2005年9月、TUJのアドバイジング・チームの一員になりました。AACのディレクター代理としてフルタイムで働きながら大学院で研鑽をつみ、2010年には桜美林大学で修士号(大学アドミニストレーション)を取得しています。オフィスで学生や同僚と仕事をしている時以外は、彼は友人と過ごしたり、甥と遊んだり、さまざまなパフォーミング・アーツ鑑賞を楽しんだりしています。2012年には米国本校から、TUJのアドバイザーとしては初の受賞となる年間最優秀アドバイザー賞に選出されました。


「批判的思考」のエキスパートたち

AACのアドバイザーとしての一番重要な資質は、批判的思考のスキルに長けていて、自己評価に裏付けられた自信を持ち、「なぜ」「どうしたら」を問う方法を知っていることです。自分が進歩している時は、自分が何をしてきたのか、なぜそれが奏功したのか、どうしたらその調子を維持できるのかを査定する方法論を持っていることが助けになります。進歩できていない時は、その状況を分析し、なぜ進歩することができないのか、その状況を変えるためのアクションプランを作成できることも重要です。AACのアドバイザーチームは、日々様々な状況に対面し、そのすべてにおいて批判的思考や意思決定のスキルを求められています。島田ディレクターは、大学時代に受けたリベラルアーツ教育があってこそ今の自分があると考えており、その結果、この重要な職責を果たすことができるのだと信じています。自身の学業・職業上の経験を通して常に、リベラルアーツ教育の重要性を信じ、それこそが学生を学業や職業上の成功へと導いてくれるものだといっています。なぜならリベラルアーツ教育とは、批判的思考を伸ばし、己の考えを整理して効果的に発表するスキルを鍛え、他者と協力しあうことを教えてくれる実地訓練に他ならないからです。

アドバイザーとして一番の喜びは

AACの仕事で最もやり甲斐を感じられるのは、自分がしたことに対する成果を目の当たりにできることだと、島田ディレクターは言っています。アドバイザーたちは自身が支援した学生が成長し、進歩を続け、最終的に卒業していくことに喜びを感じています。本当に努力しているのにもかかわらず、壁にぶつかっていたある学生のエピソードで、AACはその学生と一緒に詳細な履修・学習プランを練り上げ、その結果その学生はGPAを3.0以上にまで回復することができたそうです。その後、学生はフィラデルフィアの本校に編入し、そこでも優秀な成績を修めました。このようなケースこそがアドバイザーという仕事をこの上なく喜ばしいものにしてくれるのです。


島田ディレクターを始めとするAACのアドバイザーチームは、教員とも積極的に協働しています。例えば、教員からカリキュラムの作成について相談を受ければ、大学の学則の観点だけではなく、学生の学びの視点からもそれを評価し提言しています。日本の他の大学から視察を受ける際、多くの訪問者がAACが学生だけでなく、教員といかに密接にやりとりをしているかを見て驚嘆するといいます。「教員の専門知識やノウハウは尊重しつつ、私の役割は学則の専門家として、また学生の学問キャリアをずっと見守るプロのアドバイザーとしての視点から彼らをサポートすることです。よりよいカリキュラムを練り上げるために、これは生産的なやり方だと信じています」と島田ディレクターは説明しています。教員から相談を受けた時は、彼は他大学のカリキュラムやシラバスにも目を通し、情報提供に努めています。

助言の対象は学生たちに止まらず

AACは様々な意味で、教務において日本の大学に米国式運営モデルとしての知見を提供する役割を担っています。TUJのAACは、現在日本で唯一、教員でないプロのアドバイザーが運営しているアドバイジング機関だといえるでしょう。近年、多くの日本の大学から、AACに教務関連の学生支援システムについてアドバイスを求める相談が増えてきています。島田ディレクターや他のアドバイザーが他大学に招かれセミナーやワークショップを行ったり、学会や研究会で発表したりする機会も数多くあります。「TUJは米国の大学でありながら、日本の高等教育の一員でもあります。TUJのミッションの一つは、日本の高等教育の発展に貢献することで、私のチームがそのイニシアティブの一翼を担っていることを誇りに思っています」と島田ディレクターは言っています。

彼は、自分のチームのプロ意識の高さと、一人一人が独立して仕事ができる上にチームとしても機能できる能力に敬服し、各々のメンバーがTUJで働くことを選んでくれたことに感謝しています。日本の高等教育の場において、TUJ全体がたくさんのユニークな長所を持っていると彼は信じていて、それこそが彼がここで働き続けている理由です。

文、写真: アディオ・アレクサンダー
経済と国際貿易の専門家を目指す、TUJ国際ビジネス学科2年生。英語、日本語、中国語の三ヶ国語に堪能で、2020年までに五ヶ国語が話せるよう目下勉強中。暇があると、ダンスや古い映画を観て楽しんでいる。(翻訳編集: TUJ広報・マーケティングサポート部)