コロナ禍の大学生、オンライン学習環境を利用して シリコンバレーIT企業へアイディアを提案

いざ挑戦

シリコンバレーのスタートアップ企業へ向けた最終(オンライン)ピッチまで、わずか6週間で準備を行うという課題に、テンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)の学生5人が挑みました。彼らはコロナ禍によるオンライン環境を効果的に活用し、カリフォルニア州のIT企業Vui.ai社(https://www.vui.ai/)から出された挑戦、Voice Twitterを活用して新たな製品コンセプトを提案しました。

挑戦者たち

TUJ非常勤講師マーク・フォード氏は、かつての同僚で現在はシリコンバレーで活躍するVui.aiの創設者兼CEOダッシェン・ファン氏と、航空宇宙工学エンジニア兼シニアエグゼクティブのケリー・シェ氏の両名を、「Introduction to Asian Business (アジアビジネス入門)」履修中の学生たちに紹介し、ピッチへの参加を促しました。

エンジニアリングに関する経験を持つメンバーのいないTUJチームにとっては大きな挑戦でした。

国際ビジネス学科1年*の羽鳥世将さんをリーダーとして、集まったチームメンバーは、ものの見方、価値観、仕事のスタイルなど、文化的にも多様な個人がそろっていました。「人生でたった一度、唯一無二」の体験として、羽鳥さんは今回のプロジェクトを振り返っています。

シリコンバレーのエグゼクティブたちによる指導を受け、チームは実社会での製品コンセプト開発のペースにすぐさま適応し、自分たちに相応しい役割や責任を見出していきました。ジンバブエ出身の国際ビジネス学科2年*で以前会計学を専攻していたバーブラ・マダモンベさんはチームの「CFO」(財務責任者)、メキシコ出身で国際ビジネス学科3年*のアラン・サンチェスさんは「CTO」(技術責任者)、愛知県出身で国際ビジネス学科2年*の木村由菜さんは「COO/CIO 」(オペレーション責任者・情報管理責任者)、ニュージーランド出身で教養学科1年*のケビン・ゴンさんは「CMO」(マーケティング責任者)そしてチームリーダーの羽鳥世将さん(千葉県出身)は「CEO 」(最高経営責任者)としての役目を果たしました。

新しく生まれたコンセプト「ボイス・スナップチャット」

学生チームはZoomでのミーティングを通して連携を取りました。6週間のプロジェクト期間を通して、製品のアイデアスケッチ、市場参入の研究、そして財務や戦略の分析まで、「ボイス・スナップチャット」のコンセプトが誕生したのです。ユーザーは音声入力によって写真を撮ったり、メッセージのやり取りをしたり、その他の機能を使うことが可能となる、というものでした。

ZOOMによるオンライン取材で撮影
ZOOMによるオンライン取材で撮影

己を知る — プレゼン当日

学生たちは自分たちの「ボイス・スナップチャット」のアイデアを、業界の3人のシニアエグゼクティブから成る審査員たちの前で発表しました。審査員たちは学生たちの「まとまりやプレゼンテーション(の工夫)の欠如」について指摘しました。特にZoomや完全にオンラインという状況では、文字中心のMS Wordファイルをスクロールして見せることはあまり効果的ではないということをチームは学びました。審査員の1人は、自分たちは「学生が自分で問題を発見するのを助けるのが役割。我々がすべての答えを与えられるわけではないから」とコメントしました。現実社会において、体験から学びを得ることは最も実用的なレッスンなのです。

「彼らにとってピッチは、自分たちがどうだったかというフィードバックを集めるための生きた実験室なのです」とフォード氏は担当教員として振り返っています。「このチームのメンバーは懐の深いリーダーとして成長しています。アジアでのビジネスにしても、その他のどんなキャリアにしても、複雑で多文化的な状況において誰かと協力して何かを生み出す、ということを彼らはいつでもできる準備ができています」。

国際ビジネス学科ディレクターのウィリアム・スウィントンは、プロジェクトを総括して、「教室外からさまざまな見方や考え方を組み入れることは、TUJ国際ビジネス学科のDNAの一部に刻まれているのです。キャンパス内でもZoom上でも、このことは学生たちにとって有効なのです」と断言しています。企業に関する専門知識と共に、実社会の一例を教室に取り込むことは、学生たちの学びに刺激を与え、TUJでの体験にかけがえのない機会を生み出してくれるのです。


*TUJ学生の学年は本プロジェクト当時(2020年春学期)。
ピッチとは:主にIT業界や広告業界などで使われる、短いプレゼンテーションのこと。ピッチは少数の相手にごく短時間で新規ビジネスなどのアイデアを売り込む。