情報資料の世界との架け橋—ライブラリアン(図書館司書)

テンプル大学ジャパンキャンパス (TUJ) の図書館は、麻布校舎の4階にあり、学生、教職員にとって静かな“隠れ家”となっています。大切に維持管理された学術書から余暇雑誌まで幅広い蔵書コレクション、6万冊以上の書籍と多数の機関誌や定期刊行物が書架に満載されています。

学生のための、パーソナルな選書

図書館長トム・ボードマンはこの図書館の選書に細やかな気遣いをしており、月に600-700もの書評に目を通します。TUJ図書館の蔵書は、専攻、授業、教員の入れ替わりとともに常に最新の状態に保たれています。現在の学部の専門領域である言語学、アジア史、アート、写真など、学生のニーズや教員からの要望の両方に応えるものになっています。「われわれの蔵書は、まさにカリキュラムに則したものになっています」とボードマンは説明しています。「さらに、米国本校の蔵書にもアクセスできるので、とても恵まれています」。この図書館が有するフィラデルフィア本校との繋がりは、国際分校としてのTUJならではの特権で、それにより総合的サービスを提供する図書館として機能しています。TUJ図書館では、本校に論文や教科書の一部などを送るよう請求したり、学生にテンプル大の豊富なオンラインデータベースや情報資料へ遠隔および館内の端末からアクセスを提供することができます。ボードマンは、オンライン資料の重要性を強調し、頻繁に授業を訪れては、学生にデータベースの使用方法や利用できる情報資料について説明しています。「ポータル上にはとにかく大量の情報があります」と、ボードマンは嬉しそうに語っています。「例えば、映画ファンには、Kanopyデータベースの検索を勧めます。国際的なビデオ・ストリーミングを楽しめて、本当に素晴らしい。それに、すべての学生がアクセスできるんです」。

地域社会重視の価値観

米国テンプル大学本校との密接な繋がりに支えられながらも、TUJ図書館は、独自の蔵書選定をすることができます。近年、研究資料のほとんどがオンライン化されてきた一方で、図書館は、特定の資料については紙ベースで利用できるよう意図的な決定をしていると、ボードマンは説明しています。アートや写真に関するものや言語学文献の定期刊行物などがそれに当たります。このような選択をすることによって、図書館とコミュニティーとの繋がりを強化することにもなり、図書館は地域連携の一環として、港区立図書館への資料貸与も行っています。このTUJ-港区図書資料借り受け利用プログラムを通して、港区民はTUJ図書館カードを取得することができ、本やビデオを借りることができます。

真心を込めた仕事

書籍、定期刊行物の蔵書や広範にわたるデータベースに加えて、図書館はさまざまな形で教員を支援しています。授業単位で図書館ツアーを行ったり、また、図書館には、TUJで使われているすべての教科書を最低1冊予備として保管するようにしています。また、学科に新たに教員が加わる場合や科目が新設される際、ボードマンは、その特定科目に必要な資料は何かを尋ねます。「われわれは、教員にも蔵書コレクションの進化に興味をもってもらいたいと思っています」。TUJの新設科目に関連する資料を探す際、彼は他の大学の類似科目のシラバスも参照しています。

図書館を影で支える人物

TUJのユニークで広範な蔵書を選定、維持している図書館長、トム・ボードマンとはどんな人なのでしょう。ウィスコンシンで生まれ育ったボードマンは、これまで拠点をさまざま移してきたという点では、世界中からTUJに集まってくるグローバルな学生たちと似た経験をしています。オレゴン大学で修士号を取得した後、彼はアラスカのフェアバンクスに移って、10年間司書として働きました。その後、新天地を求めて、サンフランシスコの公立図書館で働くようになりました。1990年代には初めて日本に旅をして、東京が好きになります。「私にとって、東京は理想の都市なんです」と、彼は言っています。東京で職探しをしていた時、幸いなことにTUJで司書の募集があり、1992年からこの大学図書館働きはじめました。当時、東京には他にもアメリカの大学が分校を構えていましたが、ボードマンは、テンプル大学の東京分校への力の入れ方は他校にはないものだと確信したと言います。「テンプルは、ここの設備に対して相当な投資をしてきています」。

未来へ向かってページをめくる

TUJが昨年35周年を無事に終えた今、ボードマンはその過去の変遷を思い返し、将来への希望に思いを巡らせています。この総合サービス完備の図書館は設置から30年以上が経ち、技術的な進化の面では米国本校の先例に倣うものです。TUJが2019年に東京・世田谷区へ移転し、昭和女子大学とキャンパス共有の準備を進める中、ボードマンはTUJ図書館はその移転後も、静かでアナログな憩いの場所であり続けて欲しいと語っています。

TUJ図書館は、ボードマンにとって宝箱のように大切な存在です。研究のための広範な情報資料や素材を提供するだけでなく、学生と教員個人個人のニーズを満たすことに貢献してきました。図書館に一歩入れば、フレンドリーな顔と親切な援助の手が、いつでもあなたを迎えてくれるでしょう。


文、写真: ケイリ・ハミルトン-モウレイラ
TUJコミュニケーション学科3年生。執筆やアルバイト以外の時間には、アメリカのトーク番組の再放送を見たり、夫の肖像画を描いたりしている。(翻訳編集: TUJ広報・マーケティングサポート部)