カーク・パタソン

30周年を心からお祝い申し上げます。めでたくこの年を迎えることができたのは、これまでTUJに関わってきた多くの教職員の献身的な働きの賜物と言えるでしょう。また同時にそれは、多くの懐疑的な見方にも関わらず、日本に類を見ない教育機関を作るという決断をしたテンプル大学の、先見性とゆるぎないコミットメントを示すものでもあります。

2002年から6年間、TUJ学長を務めることができたのは、私にとって大変光栄なことでした。学長職はまさに私の理想の仕事だったと言えます。学生の夢の実現の手助けをし、また将来もTUJが多様な教育ニーズに応え続けるための基盤づくりに貢献できたことを、本当に有り難く感じています。

学長時代のいちばんの思い出は、やはり卒業式です。学生がステージに上がるとき、彼らがこの日のためにどれだけ努力してきたか、そしてTUJが彼らの人生にどれだけ大きな影響を与えたかに思いを馳せ、大きな感慨を覚えたものです。また、卒業生のご家族に会うのも毎年の楽しみでした。今でもよく覚えている親御さんの言葉があります。「上の娘がTUJに行きたいと言ったとき、日本の大学に行かないなら学費は出さないと言い渡しました。それでも娘は、自分で学費を稼いでTUJに通ったのです。そこで彼女が受けた教育は、確かにすばらしいものでした。だから下の娘には、TUJ以外の大学に行くなら学費は出さないと言ったんですよ」

TUJの実力は、世界中で活躍している卒業生にこそ現れていると言えましょう。彼らは理論的思考力、異文化コミュニケーション能力、そして不断の努力というTUJにおける教育の特質を体現しつつ、様々な場所で働き成功しています。

個々の学生への寄与にとどまらず、TUJは国境を越えた新しい教育モデルのパイオニアとしても重要な役割を果たしてきました。海外大学日本校の運営は、他の多くが試みては失敗してきましたが、TUJは、学部・大学院をはじめ学位取得を目的としないコースも含めた幅広いプログラムを提供し、高い教育水準を維持しながら現地内外の学生のニーズに応え、同時に経済的にも持続可能であることを証明したのです。

TUJはこれからも、さらに多くの学生の目標達成と夢の実現を支援し発展を続けるでしょう。未来は明るく、本番はこれからです。益々の成功をお祈りいたします。

パタソン氏は引退後カナダ在住。

パタソン氏は引退後カナダ在住。現在はヨットによる日本への航海を準備中です。2012年6月から1年ほどかけて日本近海を一周し、東京には2013年春頃には東京エリアに滞在予定とのこと。「卒業生や教職員のみなさんと会えるのを楽しみにしています」とのメッセージをいただきました。