ダイアン・ハイブリッジ:
ライティングのスペシャリストに聞く

「書く」技術は多くの人にとって最も重要なスキルの一つになり得るも、いざ書く段階になるとおじけづく人も多いようです。広報コミュニケーション職におけるキャリアップであれ、物語を通して自分を表現することであれ、うまく書けるようになることは、いざという時に強力なツールとして役立つはずです。講師のインタビューを通じて、ライティングの世界を探求してみましょう。

先生の経験について詳しく教えてください

オーストラリア随一の美しい都市、シドニー出身で、話題に事欠かない大家族に囲まれて育ちました。シドニー大学を卒業後しばらくの間は教職に就き、渡航費を蓄えて世界へ旅立ちました。最初の訪問地は、日本でした。この短期間の滞在が日本の歴史や文学に強い関心を持つきっかけになりました。ロンドンでは小さな書店に勤め、書籍販売に関する業務を学んだり、書籍を取り扱う仕事をとても楽しんでいました。その後、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)で修士課程に在籍し、日本の文部科学省による国費外国人留学生制度から奨学金を得て、歴史学における研究留学生として東京大学に在籍する機会を得ました。そして、私の人生は大きく変わったのです。ある晩、図書館から戻ったアメリカ人のルームメイトが、キッチンテーブルでタイピングする私を見つけ、何を書いているのかと尋ねました。その時、私は物語を書いていました。東京で新生活を送る中、研究要素の1つとしても、身の回りの世界を探求する手段としても、自身にとって最も大切なのは書くことだと気づかされました。この最初の物語がオーストラリアで出版されたことは、奇跡というしかありません。作家になるということは必ずしも容易ではないと後に知ることになりますが、ともかく、わたしはこうして作家になりました。

それ以来、長編・短編フィクション、雑誌記事、書評、マーケティングや広告コピーを手がける作家として活動してきました。また、教えることも仕事とし、特に、ライティング講師をしてきました。

担当する講座について詳しく聞かせてください

現在、3つのコースを担当しています。「コミュニケーションの専門家のためのライティング (WCP101)」は、社内外の多彩なコミュニケーションやパブリックリレーションズを目的とするライティングに特化するコースです。「記事(オンライン・紙媒体)の書き方​​​​​​​​​​​​​を学ぶ (MFW101)」は、学生個人が関心を寄せるテーマでノンフィクションに取り組みます。授業では、読者に興味を持たせ、印象付けて感動を与える手法に着目します。「クリエイティブ・ライティング: ストーリーの伝え方 (ICW102)」は、わたしが担当する中で最も長く継続しているものです。フィクションが持つ創意に富んだ自由さを好む学生に向けたコースです。

異なる分野のライティングを学びながら能力向上を目指し、私が担当するコースを複数受講する学生もいます。また、執筆におけるユニークな表現方法を見出し、クリエイティブ・ライティングを迷うことなく選択する学生もいます。このコースでは、学生のニーズや意欲によって文学的フィクションからファンタジーまで、異なる種類のライティングに取り組むことができ、何度も同じコースを受講する学生がいます。

あらゆる種類のライティングには関連性があり、互いに高め合うようにできています。同様にコースで培ったスキルも、ライティングの目的により応用可能です。どのような媒体であれ、本格的に書けるようになるには大変な努力が必要です。けれど、柔軟さと洞察力があれば、仕事も人生も選択肢は大いに広がります。異なる業界で活躍する学生たちが、様々なキャリアレベルにおいて、仕事に直結したライティング力を身につけて役立てる姿や、単純に執筆を楽しむ姿を目にするのは大変素晴らしいことです。

先生の講座を修了した受講生のサクセス・ストーリーがあれば聞かせてください

「クリエイティブ・ライティング: ストーリーの伝え方 」では、授業で開始した執筆プロジェクトをそれぞれの国に戻り完成させて、ゆくゆくは出版に至る学生が多くいます。ある学生はテレビ番組の脚本家になり、他にはクリエイティブ・ライティングにおける修士号の取得を目指しアメリカやイギリスに渡った学生も多数います。最近では翻訳家として活躍する学生が、オリジナルの創作活動に取り組む一方、アメリカ小説の日本語版を出版しました。

「雑誌・特集記事の書き方 (MFW101)」では、各学生が従事する分野の業界誌をはじめ、旅行誌、スポーツ誌、ファミリー向け雑誌、会社や個人ブログなど、様々なメディアで発表する機会を得ています。授業の執筆プロジェクトで書き上げたレポート形式の記事を転職に活用した学生もいました。

「コミュニケーションの専門家のためのライティング (WCP101)」では、これまで十分な演習の機会がないままプレスリリースや広告のコピーを書かされていた学生が、PR活動にともなうセンシティブな状況下や、同僚およびクライアントとのコミュニケーションにおいて適切な口調で対応し、自信をもって、さらに仕事で活躍の場を広げることができるようになりました。

どのような方が先生のコースを受講していますか。

多種多様な学生たちが参加することに毎回驚かされます。国籍や母国語の違いの他、特に職業の多様性には目を見張るものがあります。教師、ジャーナリスト、通訳者、ファッション・自動車・航空業界で活躍するプロフェッショナル、家で過ごすことが多い子を持つ親、レストラン・IT企業・幼稚園・大使館で働く人たち、求職中やアルバイト生活など、アイディアと経験にあふれた学生たちです。また、退職者や転職活動中、駆け出しの人もいます。そうした学生たちが、対等な立場で教室で出会い、お互いに耳を傾け友達になり、励まし合うクラスです。皆が寛容な心で接し、お互いの努力を認め合う場面を目にすることは嬉しいものです。教える立場として、厳しい批評を行うわけですが、様々な職業に就く学生たちだからこそ、その意味を異なる視点から解釈して役立ててくれると確信しています。

ご存知でしたか?

ハイブリッジ講師の作品である、日本を舞台に相互作用するストーリーを描いた「In the Empire of Dreams」は、異文化を題材にしたフィクションを研究するオーストラリアの学者にも着目されています。キャリアの初期から東京で活動を続けているカイル・マックロスキー(アメリカ出身の映画監督)によって、ストーリーの1つ「Teaching the Nightingale」が短編映画化されました。日本およびオーストラリアの俳優が主演を務めます。監督は、国内外の映画祭での上映を目論んでいます。今回の映画化を通して、ハイブリッジ講師自身も映画の製作過程を学ぶ良い機会になったと考えています。また、映画作品や映画シナリオに関心を寄せる学生たちと、その知識を共有することを何よりも楽しみにしています。

Movie Poster for 'Teaching the Nightingale'

ハイブリッジ氏が教えるコース

2017年春学期の開講予定はありません。