早稲田中学高等学校 金田教諭インタビュー

2010年4月より1年間、アカデミック・イングリッシュ・プログラム (AEP) で英語教員のためのインターンシップ・プログラムに参加された早稲田中学高等学校の金田論理教諭に、インターンシップの体験談や英語教育についてお話を伺いしました。

金田教諭は大学を卒業後、現在の早稲田中学高等学校に非常勤講師として1年間勤務し、その後専任教員として採用され現在に至ります。早稲田中学高等学校は中高一貫の男子校で、今年(2011年4月現在)で教員生活19年目になります。

英語教員になったきっかけを教えてください

大学卒業間近には世界を股にかけるビジネスマンを自分の将来像として何となくイメージしていました。しかし、就職に関していろいろ悩み、いざ真剣にどうしようと考えたときに「先生になりたい」と思ったのがきっかけです。生徒から見て「こういう先生がいたらいいな」という先生になりたいと思っています。はじめは「英語の先生」というよりは、「先生」になりたいというのが先でした。「英語の先生」になったのは、父親の影響もあったのかもしれません。英語好きの父で、近所の子どもたちに英語を教えたり、英語教育に関する本を多く読んでいました。本棚に英語学習に関する本がずらりと並んでいたのを今でも覚えています。

AEPインターンに申し込んだ理由を教えてください

"マンネリ"からの脱却と自分の英語教員としてのスキルアップのためです。

現在の学校で20年近く勤務してきて、教員としてのスキルが身についてきたと同時に、自分の中で、「これから先、このままでも、それなりにやっていける」という安堵感が出てきていました。

また、自分なりにこれまで精一杯仕事をやってきて、これから先もこのペースで行くと"ガス欠"になりそうな感じもしていました。日々がなんとなく流れ、究極的には「楽しくない」という思いを持つのではないかという不安もありました。

そして、大学では法学と英文学を学んだので、これまで自分が受けてきた教育において英語教授法を体系的に学んだことはありませんでした。レベルアップのためにも専門的な知識を学び直したいと感じていました。

インターンをやってみて、いかがでしたか?

英語教授法を体系的に学べて本当に良かったと思っています。
いろいろな理論を学びましたが、そのままそれを実践するのは難しいものもあります。たとえば日本の中高で英語を教える場合、日本独自の教え方が必要だと思います。ただ、独自の教えを構築するにしても、まず理論を知っておくべきだと実感しました。これまでは過去の経験をもとに英語を教えてきました。それが、今回このインターンで理論を学んで、理論上も正しいと確認できたことや間違っていたと感じることがありました。「あれで良かったんだ」「こういうことなら、ここはこうしよう」など、心底実感できることがたくさんありました。TESOLの土曜日のセミナーでもいろいろなテクニックが学べて、すごく勉強になりました。

また、アメリカの大学でのインターンという体験を通じて、自分の英語や英語教育にもすごく自信がついてきているのを実感しています。
私の場合は、勤務校の研修制度の関係で、週に3日だけTUJに通い研修を受ける(通常は週に5日)形をとりました。ちなみに、残りの週3日は勤務校で授業を受け持ちました。日本の教育はぎゅっと締めながらやっていく、でも、アメリカの大学の場合(AEPで見た限りでは)楽しく持ち上げてやっていく。そういったスタイルの差にも影響を受けて、勤務校の生徒に「先生、どうしたんですか?そんなにニコニコして・・・」などと言われたこともありましたよ(笑)。

インターンを始める前、始めた後でテンプル大学に対する印象に違いはありましたか?

印象の違いというよりは、アメリカの大学ということで、最初はかなり恐れおののいていました(笑)。英語教員だから英語ができて当たり前だと周囲からは思われるだろうというプレッシャーもありましたし。AEPの学生の中には少なからず女子もいましたが、長年男子校で勤務しているため、彼女達とどう接すれば良いのかというのも、不安の種でした。諸々総合して言うならば、最初は転校生のような気分を味わっていました。
ある程度の年齢になってから知らない環境に行くっていうのは怖いですよね。でも、次第に慣れてきて、AEPの講師の方も学生も非常に気さくで、TUJでのインターン生活を楽しむことができました。

日本の高校英語教育(一般論で)とテンプルAEPの英語教育の一番の違いはなんだと思いますか?

高校と大学という違いはあるけれど、車の運転の習得を例にして言うならば、日本の英語教育は、「車の運転の仕方を教え込むが、実地練習が少ない」。テンプルAEPの英語教育は、「ひたすら実地練習をさせて、体で教え込む」ということでしょうか。日本の英語教育は、正確さ (accuracy) に重きを置いていて、生徒も細かいことをすごく気にします。それゆえに、fluency (流暢さ) が欠けてしまう。たとえば、生徒は難しい単語を知ってはいるけど使えない。国民性なんですかね?日本は正確さにこだわるし、そこがカセになっている気がしないでもない。逆に、TUJでは最初は正確さは気にせず、どんどん前に進む。最終的なところでは正確さが求められますが、はじめはfluencyに重きを置いているように感じます。

私は日米のaccuracyとfluencyを組み合わせてやると、すごくいいんじゃないかなと考えています。ある程度教える。そして、戻ってきて実践してみる。またある程度教えて、また戻ってきて実践してみる。その繰り返しがいいのではないでしょうか?

日本の高校生とAEPの学生とで、違うところはありますか?

学生が違うというよりは、システムの違いにより、違いが生まれていると感じます。 まず先生と生徒がファーストネームで呼び合っているという点が大きな違いです。必然的に、先生と生徒の距離が近くなります。もちろん、クラスの人数の差(勤務校では一クラス40人以上、TUJは15人以下)も大きいと思います。

インターンをしてみて、一番印象に残っていることはなんですか?

講師達の教材の選び方とクラスの進め方が見事だということです。RBW(Reading Based Writing)というクラスでは、読み物を読んでその読み物をもとに、講師が設定した質問に答えたり議論をしていきます。講師の指示通りにタスクをこなしていくと、自動的に構成が整ったエッセイが出来上がっているのです。まるでマジックを見ているようで感動しました。また、講師の方々が膨大な量の読み物を読み、その中からエッセイを書くのに相応しいものを選んでいるということも知り、やはり良いクラスを作るためには、その裏に大きな努力があるのだと痛感しました。

インターンの経験を通して、一番役に立っていることはなんですか?

生徒指導に関して言えば、自分の中高の教え子が卒業後にどのような英語力が求められ、そのために中高時代に何を教えれば良いのかが見えたことが大きな収穫でした。これまで通りで良いものもあり、それはそれで、自分がやっていることの正しさが証明され勇気づけられました。また、足りないものや変更すべきものに関しては、今後の課題としてさらなるやり甲斐へとつながります。

自分自身のスキルに関して言えば、仕事が軽減されて、勉強ができたことです。仕事をしながらも、自分のスキルアップのために勉強しなくてはという思いもありましたが、仕事にエネルギーを使った後にはなかなか勉強する気にならなかったのが現実です。このインターンプログラムを通して、物理的に勉強する機会と時間を与えられ、改めて学ぶことの楽しさを知りました。

これから自分の授業に役立てたいことなどがあったら教えてください

講師の方々の生徒に接する姿勢 ー なるべく良いところを見て後押しをするように接している姿勢 ー は見習いたいと思います。また、ディレクターのDr. Mizunumaのエッセイ指導、TESOL (英語教授法修士・博士課程) のクラスでProfessor Nationに教わったこと、AEPのクラスでTA (ティーチングアシスタント) や見学をして学んだこと、さらには学部課程の授業の聴講 (philosophy) やContinuing Education (生涯教育) のWritingクラスで学んだことなど、盛りだくさんです。それら全てから学んだことは一口では言い表せません。

将来のインターンの方にメッセージをお願いします

私自身、このインターンを開始する前に、過去のインターンの方と直接お話をさせていただきました。新しくインターンを始める方へ、私からのアドバイスをすることはいつでも可能です。日本の英語の先生は「聞く」「話す」の部分で自信がない、また、人よりも求められているだろうという恐怖感があるかもしれません。しかし、その恐怖感を一歩超えてしまえば大丈夫。頑張ってください!

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