学長室だより

不断の前進

2009年9月10日

秋学期が始まりました。学部課程の学生数は昨年に比べてさらに伸びています。日米・世界の経済情勢の厳しさを考えると、これは快挙といえるでしょう。が、これは同時に良質の国際高等教育に対するニーズの高さを示すものであり、TUJがそれに応える力を持っていることの証左でもあります。現時点では学生の詳細な内訳はまだ出ていませんが、今学期も日本人:外国人の比率はおおよそ5 : 5の理想を維持し、男女比もほぼ半々、また学生の国籍も50カ国を超える見込みです。

今年の東京の夏はあまり天候がすぐれませんでしたが、みなさんもいくらか夏休みの息抜きができたことを願っています。私は例年通り米国メイン州へ里帰りさせていただきましたが、休み中の時間を使って、今年後半なにをすべきかを熟考しました。リストの筆頭は、引き続きアカデミック・プログラムの改革・刷新をはかり、社会経済環境の変化、また学生のニーズの変化に対応していくことです。

メインキャンパスでは昨年、新しい教養課程General Education(Gen Ed)が導入されましたが、TUJでも今年、Gen Ed基礎科目の導入を開始しました。これは来年度の完全導入に向けた準備となります。Gen Edは、1980年代から教えられてきたコアカリキュラムに替わるもので、テンプルの学部課程の基礎であるリベラルアーツ教育を、新しい角度から組み直したものです。Gen Edの使命として、次のように述べられています。「学生が人生において、また社会においてさまざまな決断を下していくにあたり、その彼らを知識豊富で活動的な市民として育て、彼らに世界と自分自身について批判的に判断するための道具を与えること。これは地域、国家、そして国際社会に多様な影響をもたらすグローバル化が加速する時代において、特に重要である。」 この最後の一文は、TUJにとって特に大きな意味を持ちます。なぜなら、まさにそれはTUJにおける教育内容を指すものであり、テンプル大学全体にとってジャパンキャンパスの占める重要性を表しているからです。

もうひとつ今学期に進行中の変革は、ビジネスマネジメント学科(BBA)から国際ビジネス学科(BSIB)への移行と、観光ビジネス学科の段階的廃止、および来年度の日本語学科導入に向けた準備です。アカデミック・プログラムの改革に関してさらに付け加えれば、テンプル大学とTUJはまもなく、米国中部教育認定協会による認定*更新のための審査を受ける予定です。認定更新は10年ごとに行われます。メインキャンパスが作成中の自己評価報告書には、TUJ単体の自己評価も含まれており、この冬から来年春にかけて行われる予定の実地審査に向けて、万全の準備を整えています。

この秋に予定されているこのほかの重要イベントとしては、4月に連携協定を結んだ武蔵学園(武蔵大学・武蔵高等学校中学校)と共催する、キックオフ・シンポジウムがあります(10月21日)。日米の大学におけるリベラルアーツ教育の重要性をテーマに、有馬朗人・武蔵学園長と私が講演を行います。有馬氏は日本有数の物理学者であると同時に、元文部大臣でもあります。講演に続いては両校教授らによるパネルディスカッションと懇親会も予定されています。なお、武蔵とのこの連携協定は、TUJが強化しつつある日本の大学との提携事業のひとつです。すでにTUJはこの夏、学芸大学付属高校・中学校向けの英語プログラムや、山形の東北公益文科大学とのジョイント英語プログラムも開催しました。

さて、この夏日本最大のニュースといえば、やはり衆院選での民主党圧勝、そして政権交代でしょう。この選挙結果が示すのは、国民による新政権への積極的な支持なのか、旧政権の否定という消極的な選択なのか。答えが出るのは少し先だと思いますが、TUJが日本社会で重要な役割を担い続けるためには、新しいリーダーシップの下での日本の行方を注意深く見守っていく必要があることは確かでしょう。

注記: 米国中部教育認定協会による認定

「日本での大学の認定は文部科学省に一任されていますが、アメリカでは民間の認定団体がその任にあたっています。認定を受けるには、大学設立後、大学側がCHEA(Council on Higher Education Accreditation)に認定された認定団体に認定を申請します。申請の際には、大学が自らの教育内容を調査・報告し、その後、認定団体が各大学の教育目的や指針に応じて審査します。大学は、その規模・内容などが認定団体の定めた基準に達している場合に認定され、認定資格を保つために定期的に審査を受けなければなりません」(日米教育委員会・編著 『アメリカ留学公式ガイドブック』より)

米国中部教育認定協会(Middle States Associations of Colleges and Schools)は地域別6つの地域認定団体のひとつで、テンプル大学のあるペンシルベニアのほか、ニューヨーク、ニュージャージーなど東部6州およびプエルトリコ、バージン諸島などを管轄しています。