学長室だより

Back to the Basics

2009年4月6日

学長に就任して、4月1日で丸1年。楽しいときの時間はあっという間に過ぎる、と言いますが、私もこの1年は、たった1ヶ月くらいにしか感じられません。この間いろいろなことが起きました。なかでも、急転直下の経済危機とオバマ新政権の誕生。学長として政治的な発言は控えますが、この2つの出来事は世界中の人々に、大きな不安と同時に希望をもたらしたと思います。不安というのは、経済の先行きの心配だけではありません。どうして我々はこんな事態を招いてしまったのか、という自問でもあります。人を楽観主義に走らせ、ときに強欲をもらたし、理性も分別もやすやすと乗り越えてしまう。そんな人間の心理・感情とはいったい何なのか?その一方で、希望も芽生えています。それはオバマ大統領個人への期待だけでなく、我々が引き起こした多くの問題を、政府が解決してくれるのだという安心感です。

この警戒と楽観のバランス。「いま」への集中と将来を見渡す展望とのバランス。これは世界経済にとって大事なのと同じくらい、テンプルジャパンにとっても大切です。経済危機がいろいろな意味でテンプルジャパンに影響を与えることは必至です。直接的な影響がもっとも大きいのは、支払いの負担をかかえる学生や親御さんたちでしょう。さらに円高の影響もあります。企業が社員研修に使う予算も減り、寄付金も減ります。そのような状況では、大学の運営は当然保守的になります。1円たりとも無駄にせず、収支のバランスを厳守しなければなりません。しかし一方で、高等教育機関にはビジョンが必要です。我々はビジョンを失ってはなりません。森の中を歩いているとき、今踏み出す足下に注意を払うのは当然ですが、ときどき顔をあげて見渡さなければ、森全体の美しさを知ることはできないのです。

こんな時代だからこそ、プラスの面もあります。仕事の目的がはっきり明確になることです。基本に戻って、自問するのです。テンプルジャパンの使命とはなにか?我々はどんな目標を達成しようとしているのか?

私はテンプルジャパンの新しいミッションステートメントを定めました。要約すれば、「学生に対し、日本(東京)というロケーションに適した、優れた教育とサービスを、真に国際的な環境において提供すること」。これが柱です。もちろんこの他にも、日本の大学との学学連携の推進や、地元・港区コミュニティへの地域貢献などの使命・目標もあります。しかし、我々の仕事はすべて、最終的には「教育」というミッションのためです。

私が学長職にとどまる限り、その方針に変更はありません。